尿素にはどんな効果が?尿素配合化粧水の使い分けと注意点
2019/03/21
ハンドクリームによく配合されている尿素。
尿素というと「おしっこ」をイメージしてしまいがちですが、保湿効果とお肌をやわらかくする作用に優れた、歴史ある成分です。
その働きを利用して、化粧水にも配合されることがあります。使うとお肌がやわらかくしっとりとし、その使用感が好きという人も多いようです。
ところが、尿素配合の化粧水を使い続けていると、人によっては乾燥や敏感肌の原因になってしまうケースがあるとも言われています。
尿素そのものが悪い成分なわけではなく、お肌の状態に合わせて使うことが重要なポイントとなっているのです。
この記事では、尿素の特性・効果と、その使い分け方法や注意点をご紹介しています。
尿素とは?
尿素は、保湿性とお肌をやわらかくする作用を持ち、昔から乾燥対策のクリームなどによく配合されてきた成分です。
とくに、手荒れやヒジ・ヒザのガサガサを改善するためには優れた効果を発揮し、濃度の高いものは、角化症やアトピー性皮膚炎の治療目的に医薬品として処方されることもあります。
尿素というと、どうしても尿のイメージがついてしまいますが、尿の中に多く含まれているから尿素と呼ばれているだけで、お肌や他の部位にも存在する成分です。
また、尿の匂いや色はアンモニアなどによるもので、尿素は白く無臭の物体です。
お肌に対する尿素の働きは?
お肌に存在する尿素は、お肌の保水力を支える天然保湿因子(NMF)の構成員として働きます。
水と結びつきやすく吸湿性があり、お肌の表面に近い角質層に水分をたくわえ、みずみずしくやわらかな状態を保ちます。
この保水力を生かし、保湿成分として化粧水にも使われることがあります。ひと昔前には、市販の尿素を使った手作り化粧水が大ブームになったことも。
「安全性が高く保湿力に優れ、お肌をやわらかくする」ということで、尿素は化粧水にとてもいい成分とうたわれていました。
ところが、お肌の状態により、尿素配合のクリームや化粧水が向いていないケースがあることがわかってきたのです。
人によっては、使い続けたことで乾燥が増したり、敏感肌に傾いてしまったりという結果に…。これはなぜでしょうか?
尿素の保湿以外の作用
尿素は、たしかに優れた保湿成分なのですが、保湿とは別に、お肌に対してもう1つの作用があります。
それは、「角質のケラチンタンパクをふやかし、やわらかくする働き」です。
角質層は、ケラチンという硬いタンパク質で構成されています。それなのに触るとやわらかい質感があるのは、天然保湿因子などがその層に水分をたくわえ、適度な柔軟性を保ってくれているからです。
ケラチンは、細胞が古くなればだんだん硬くなっていきますが、正常なお肌では一定の周期でそれがはがれ落ち、下から新しく育ったみずみずしい角質細胞が現れます。
そのようなお肌の生まれ変わりはターンオーバーと呼ばれ、このターンオーバーが正常に行われていれば、お肌の角質層はほどよいやわらかさに保たれ、うるおいとバリア機能を備えた状態でいられます。
ところが、何らかの原因で古く硬くなった角質細胞がはがれ落ちずに居残ると、角質層が厚くカチカチになる角化という現象をおこします。
かかとやヒザなど刺激を受けやすい部位では、その部分を守るために角化しやすい傾向があります。
また、最初から角質が硬い状態になってひび割れ、皮がボロボロとむけてしまうような病気もあります。
そんな角化がひどいときに役立つのが、尿素の「角質のケラチンタンパクをふやかし、やわらかくする働き」です。尿素は硬くカチカチになった状態の角質層に働きかけ、それをふやかしてやわらかくし、取り除かれやすい状態に導いてくれます。
そのため、尿素配合のものを使うと、お肌がしっとりやわらかくなった質感があり、角化症の改善や、古い角質が厚くなってターンオーバーが妨げられてしまっているお肌には、良い効果が期待できると言われています。
しかしこの作用は、とくに硬くなっているわけではない正常な角質層や、むしろ薄くやわらかくなりすぎてしまっている状態の角質層にとっては、マイナスの作用となる可能性があるのです。
尿素配合化粧水が乾燥や敏感肌の原因となるケース
先に書いたような尿素の特性により、尿素は優れた効果が期待できる成分となります。
- 角化が進んだお肌
- ガサガサして厚みのあるサメ肌
- 不必要な古い角質が居残り硬くなってしまったお肌
- ヒジ・ヒザ・かかとなどが硬くなっている場合
一方で…
- 角質層の元々薄いお肌
- 年齢とともに厚みが少なくなってきたお肌
- ターンオーバーの乱れで未熟な角質細胞が露出しているお肌
- マイルドな化粧水や水でもヒリヒリとするような状態のお肌
これらの肌質において尿素配合のものを毎日使い続けてしまうと、それでなくても薄くやわらかくなっている角質層をさらにふやかしてしまうことに…
そうなれば、よけい乾燥しやすくなったり、バリア機能が弱くなってさらに敏感肌に傾いてしまったりする可能性が考えられるのです。
使い始めはお肌がやわらかい質感になって保湿力も増したように感じますが、それを続けていると、必要以上に角質がやわらかくなってしまい、かえって乾燥や敏感肌の原因となってしまう可能性もあるというわけです。
クリームと違い化粧水では配合濃度が低いので、それほど強い作用があるわけではありませんが、敏感になりやすいタイプのお肌や薄くやわらかめのお肌では、避けた方が無難と言えそうです。
尿素を配合したものよりも、よりシンプルな化粧水がおすすめです。
尿素を配合した手作り化粧水と注意点
上にも書きましたが、ひと昔前、「美肌水」という手作り化粧水が大流行したことがありました。原料は、水とグリセリンと尿素だけ。
グリセリンや尿素はドラッグストアで簡単に手に入るのでコスパも良く、多くの人が作って使っていました。
当時、私の家でも家族が使っていて、「すごくいい」と言っていたので、私も分けてもらいました。でも、私はそれがすごくしみたり、かえってお肌が赤くはれてしまったり…
その頃は化粧品やお肌に対する知識が無く、雑誌などでは「アトピー肌の人にも効果が!」のように書かれていて、たしかに無添加ですごくお肌に良さそうなのに、なぜ自分には合わないんだろうと思っていました。
けれど、今になるとその理由がよくわかります。実は私の肌は超がつくほど薄いんです。当然角質も薄くてやわらかく、ヒジやヒザですら、角化したことなんてないほどです。
つまり、バリア機能がとても弱く、刺激を受けやすい超敏感肌。
肌荒れにおすすめの化粧水は?肌荒れの原因から種類を選ぶべし!
そんな私がさらに角質をやわらかくする尿素配合の化粧水を使えば…敏感の度合いを増してしまっていたわけですね。
一方、「すごくいい」と言っていた家族は、反対に超がつくほど丈夫な肌です。荒れているのを見たことがありません。
結局、美肌水の使用も、肌によって合う合わないが大きかったということです。
自分のお肌の特性や、成分の特徴は知っておいた方がいい…と実感したのはその時です。
お肌の性質や状態は個人差が大きいものですから、他の人が「すごくいい」と言っても、自分には逆効果ということもあり得ます。
自分のお肌とその成分の特性の両方をよく知ることが、自分に合ったコスメ選びの最大のポイントと言えるかもしれません。
尿素配合化粧水を効果的に使うには?
私に限らず、同じような理由でトラブルをおこした人も他にいたようで、だんだん「尿素配合の化粧水やクリームは肌状態に合わせるのが大切」という情報も流れるようになりました。
「美肌水」も、けして悪いものでは無かったと思いますが、自分の肌状態や尿素の性質をよく知って使う必要があったんですね。
尿素をより効果的に利用するには、その特性を考慮すると『拭き取り化粧水』がおすすめと言えます。
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さらに注意しなければいけないのは、手作りの場合、勝手に尿素の配合率をアップすることもできてしまったという点です。
尿素は安全性が高いと言われているものの、濃度が高すぎるとお肌の刺激となります。そのため、濃度の高いものは医療用としての処方が必要です。
また、尿素配合でしかも無添加の化粧水を高温の場所で保管すると、異臭のするガスを発生することがあるので、そちらの注意も必要です。